れんあい【恋愛】とは。
[意]男女が互いに相手にひかれて愛しあうこと。
――携帯辞書から抜粋。
私の名前は京野琴海。
彼氏いない歴=年齢の数という、独身女の22歳(処女)。
別に中学高校が女子校というわけでもなく、男子も普通にいる共学であった。
ただ、告った事もなければ、告られた事もなく……いいなぁーと思う人は『お友達』止まり。
そんな事がずぅーっと続いて、今まで異性と付き合う事なく過ごして来た。
やっぱり、友達が彼氏を作っていちゃこらしてるのを見ると、私も彼氏が欲しいなぁ〜と思う。
素敵な恋愛がしたいっ!
って、誰だってそう思うじゃない?
だから、気になった人が出来たら先ずは思い切って告白してみよう! と考えた。
しかし、だ。
いざ告白しようと思っても、私が気になる人はほとんどが『彼女有り』。
何故なら――。
好きになる人が、ほとんどイケメンだから。
確かに、私自身、自分が思っている以上に面食いだと思う。
友達にも、「レベル高っ!」って言われたし。
顔が良ければ内面もいいとは限らないが、普通の人よりカッコいい人に目が自然に行ってしまう。
ある友達に、「彼女がいたとしても、気持ちだけでも伝えてみたら?」と言われたが、絶対嫌だと断った。
理由の1つとしては――平々凡々の外見で、自分が相手にとって魅力的に思える部分を何1つ持っていないからだ。
そんな私が、美人な彼女がいる人に告白した所で、絶対振り向いてくれるはずもなく、こっぴどくフラれてお終いに決まっている。
そんなこんなで、私は高校を卒業をしてからこの年になるまで、誰ともお付き合いする事なく過ごして来た。
で・も!
この世に生を受けて22年と3ヶ月。
漸く私にも遅い春がやって来ようとしていた。
先日、アメリカにある支店の方から、モデルの様にカッコいい人がやって来たのだ。
そりゃもう、女性の皆さんの目はその人に釘付けになりましたよ。
いつも以上にメイクが気合い入ってるし、用事が無いのにその人の所に行っては気を引こうと躍起になっていた。
まぁ、無理も無い。
彼――アレク・クロフォードさん(27歳)は、襟足と前髪が少し長い、プラチナシルバーの髪。見れば引き込まれそうなターコイズブルーの瞳が特長的。
身長は西洋人らしく、190cm。スポーツをしているのか、細身だけどなよなよしている感じがしない。
中性的な顔立ちだが、だからといって女っぽいわけでは無く、意外と中身は男前。
仕事をする時の真剣な表情は、クールでカッコいい。
しかし、一旦仕事から離れると、柔らかい表情で周りの人達に接していた。
それに、遠くにいても聞こえて来る少し低い声は、腰にくるくらい艶やかだ。
そんな眉目秀麗で人当たりが良く、仕事が出来るのに今は『彼女無し』で、尚且つ高給取りだという人を放っておく人がいるであろうか。
いや、いない。
現に、我が社1の美人と言われている香川みのりさんも、彼を狙っていると噂になっていた。
ハッキリ言って、私が告白しても99%の確率でフラれるだろう。
まぁ、すっごい好きって訳でもないし、告白して振られたらそれまでだ!
私はそう思うようにした。
でも――。
もしも……もしも、奇跡が起きて、残りの1%という確率で彼と付き合えたなら、
小説にも負けないような、素敵な恋愛をしたいと――この時の私は考えていたのであった。