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とあるメイドの日記 2

 
 今日も1日、 過酷な労働 屋敷のお掃除とリュシーナ様の大切なお客様の接客を済ませ、 先輩メイドの煩い小言を聴き終えてから 漸く自分の部屋に戻って来ることが出来ました。
 疲れた体と心を休ませる前に、今日あった事を日記に記そうと思います。


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 今日はリュシーナ様の婚約者でもある、ジークウェル・オルデス様が来ていました。
 ジークウェル様はリュシーナ様と同じく見目麗しい方ですが、私達メイドにも優しく接して下さる方です。
 でも……。


 メイド長とは“とある事”で仲があまりよろしくないようです。


 今日も、小さくなられたトール様が着る服を巡り、ジークウェル様が作られたフリフリレースがふんだんにあしらわれたワンピースを着せるか、メイド長が作られた機能性抜群のズボンを履かせるかで言い争っていました。
 普段は黒い騎士服を身に纏い、爽やかな笑顔を見せて私達メイドの視線を虜にされる方ですが……お針子も顔負けする可愛い女の子物の服を作られると、 一瞬、幼女趣味なのかと 子供好きな好青年なのね、と思えてくるのです。


 幼女 子供好きって素敵よね。


 小さくなられたトール様は、お二方の「どっちが着たい?」との言葉に、迷わず「ズボン」とお答えになられた。
「こっち」と即決されたトール様は、メイド長からズボンを受け取ってそれを履かれると、衣装部屋からさっさといなくなってしまわれました。
 無表情ながら、勝ち誇ったように目を細めるメイド長と、悔しそうな表情でメイド長を睨み付けるジークウェル様。

 どうでもいいのですが これ以上、 衣装管理が面倒なので この衣装部屋に子供服が増えないことを願うばかりです。
 

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